トランスジェンダー
仏教の国からこんにちは 01

「アンタ誰?」から始まると思いますので、簡単に自己紹介をいたしますと…トランスジェンダー・講談師の痴山臣蔵(ちざんおみぞう)でございます。現在、高野山大学大学院に所属していて、研究内容は「妖怪と密教」ですが、怪談や仏教のお話をできればいいなと思い、手前勝手にYouTubeなどをしております。令和5年(2023年)はお大師さまがお生まれになって1250年の記念の年でございます。得度などを受けるつもりです。
こんなもんでいかがでしょうか(笑)。
長い間生きていると、本当にたくさんのことが起きて、経験して、今日があるのでございます。このように色々と書き出すと、なかなか終わらないのです。
ということで、昨今色々と話が上がっているSNSで、こちらのコラムのお話をいただきました。
こんなにありがたいお話は無く、お声がけいただいた方は初老に近い私を気遣っていただき、感謝を先に書いておきます。
では、初老近いトランスジェンダーの独り言をツラツラと書かせていただきますので、よろしくお願いいたします。
甘酸っぱい「苦」はいいもの
いきなりですが、
生きることは、ハッキリ申し上げますと「苦しい」のです。
これは紀元前5世紀ぐらいにゴータマ・シッダッタ、釈尊が説かれている内容にもシッカリと書かれております。そして今日まで読まれているさまざまな教典にも記載されているのです。
仏教では「四苦」、つまり「生・老・病・死」の4つの苦しみが生きている間にありますよというもの。
それぞれの苦しみについての説明はまた、どこかでいたしましょう。
さてさて。いつの時代も、世界中のどこであっても、これは普遍であり、皆に平等にあるのです。
ただチョット最近思うのは、甘酸っぱい思い出のある「恋愛」の中にある苦しみはまた私たちは、どこか違うのだなと感じております。
遠い記憶を辿って思い出すことは、
「○○さん、いいな」
「気になるな・・・」
「これって、好きじゃない!?」
「どうしよう、ドキドキする」
と、気持ちは進化していくのですが、これは男女であってもLGBTQでもきっと同じなのです。
ただ次の瞬間、「告白したら、迷惑かな?」と考えた時の背景は、やはり世の男女間の恋愛とは訳が違います。でも、ドキドキは一緒・・・戻れるなら私も戻りたいですし、今からでもそんな甘酸っぱい恋愛をしてみたいです。
「私みたいなのが、告白したら釣り合わないよね」
「だって○○さん、カッコイイ(可愛い)し、モテるから・・・」
だいたいは、相手のスペックが自分より上と思い込んでいる場合の定番な考えです。
「私みたいなのが、告白したら釣り合わないよね」(ココまでは同じ)
「だって同じ♀(♂)だから・・・」
この2行目はきっと大きいのです。
そしてどちらであったとしても、そこで長い人生の中での恋愛における(私にとっては羨ましい)「苦」を感じる時間を人は過ごしていきます。これでお付き合いとなれば、この「苦」もいいですよね。
今回はオーソドックスな恋愛の流れを書き出して、「苦」について書きました。
僧侶になるには得度から順番に幾つかの儀式や修行を行うのですが、まだ私は僧侶になっておりませんので、好き勝手に思うところ・・・こんな(恋愛の)「苦」もいいよねって話です。誰しも人生のほとんどは 「苦」で満ち溢れております。本当にたまに出会ったり、体験する「幸せ」をより一層味わうために、その「苦」があると考えてみるのはどうでしょうか。
著者:痴山臣蔵(講談師・高野山大学大学院生・密教研究家)