生き方
仏教の国からこんにちは 02

前回に引き続きトランスジェンダー講談師・大学院生な痴山臣蔵でございます。
関西方面は昨日ぐらいから雨が降り寒くなっておりますが、皆さまの地域はいかがですか?
これからインフルエンザなどが猛威をふるい出す季節にはいりますので、初老の私は気をつけたいと思います。
さて、楽しみにしているかどうかは別として、今回は「素敵な人になる秘訣」をツラツラと書かせていただきます。
五戒(不殺生戒)と素敵な人になる秘訣
私たち仏教徒には、実は「五戒(ごかい)」というものがあります。
これは「これだけは少なくとも守ってね」というもので、私も若い頃から日々できる限り守ることを心がけております。その最初が「不殺生戒(ふせっしょうかい)」なるものです。
簡単に申し上げますと「命あるものを故意に殺してはならない」ということですが、そんなことは当たり前。しかしこれは、なかなか奥深いものでございます。何故なら、生き物の世界は必ず食物連鎖というもので成り立つのだからです。
この100年の間にも、仏教を信仰する国々ではさまざまな論争や事件・紛争があったのです。
私が知る限りでも「そりゃ、やり過ぎやんな」と思う出来事もたくさんございました。
ところで昨今の私たちの生活で振り返ると、なんと廃棄される食品の多いことでしょうか。
この廃棄された食品たちの一部は焼却されたり、飼料へと変わるのですが、とにかく驚く量です。
さてこの食品問題。
(今流行りの)菜食主義やヴィーガンなどになろう!ということではないのです。
ちょっと想像してみてくださいね。
あなたが出会ったばかりのパートナーとのデート。
ラブラブな恋人との食事の時間。
クチャクチャと音を立てる。
ポロポロと食べ物を落とす。(不注意で1〜2回程度や怪我・病気でうまく食べれないは別です。)
好き嫌いが激しく、嫌いなものは残す。(食物アレルギーなどは別です。)
「不味い!」と、残す。
明らかに食べられない量を注文する。
などなどを見た時、どうでしょう?
私たちは食事前に「いただきます」と手を合わせます。
昨今、これを禁止する小学校などがあるそうですが、この行為には深い道徳・倫理などが含まれております。
「その命をいただかせて(いただきます)」
「つくってくれた(農家など・加工・調理した皆さまへ感謝し)いただかせて(いただきます)」
などなど。
感謝を私たちは、(本来は)その瞬間に心の中で思い浮かべて、その行為をするのです。
キリスト教やその他の信者の方々は、祈りを捧げます。
いつから私たちは、「感謝」を見失ってしまったのでしょうか。
あなたがお付き合いしているパートナーと出会う時にも、実はこんな些細な仕草や行動が見られているのです。
テーブルマナーとは「箸の持ち方・使い方」「ナイフとフォークの持ち方・使い方」に注意が行きがちですが、実は日常生活にある些細な「食べ方」などにあるのかもしれません。なぜなら、私は小学生の頃のいじめにより右手の人差し指の骨が粉々になったせいで、今でも箸だけではなく色んなものを上手く握れません。しかし私がそれを説明せずとも日本国内外問わず「いただきます」と言い、精一杯キレイに残さず食べようとしていると、皆さまがフォローしてくださいます。
故意にいのち(命)あるものを殺さない。
これは「残さずキレイに食べる」ということにも繋がっているのです。
きっとあなたの横に立つパートナーと呼べる人もあなたも「いのちを大切にする」という素敵な人間であることを祈ります。
せっかく仏教のある国に生まれたのです。この瞬間からでも好き嫌いをせずに、残さず食べることを始めることができます。もちろん仏教徒でなくとも「素敵な人になる」の1つとして、この瞬間から誰もが始めれる簡単な秘訣です。
著者:痴山臣蔵(講談師・高野山大学大学院生・密教研究家)